本因坊就位祝賀パーティで関西棋院正岡徹理事長とフリースクールでの囲碁指導について話したところ、その話興味深いから原稿に書いて、と頼まれた。どんな本に書くのかというと、「発達障害に対する囲碁治療、宝塚1年の実践報告」というタイトルで、著名な先生方が執筆者に名を連ねている。ページ数は原稿用紙10枚とある。とてもではないが自分には荷が重過ぎる。このタイトルならば山下塾生OBで東京都の特別支援学校の教諭をしているツヨシ君が最適任である。当初は塾長2枚、ツヨシ君8枚で行こうとなったが、別々に書いてはちぐはぐになる恐れがあるため中川君一人で書くよう依頼した。「肢体不自由児への情報機器を活用した囲碁指導」の題で四千字を草してくれることになった。一件落着、肩の荷を下ろさせてもらった。

プロ棋士王銘琬九段から久々メールを頂いた。純碁をめぐる事情が大きく変わり、日本棋院が囲碁の普及に純碁を推進する方向に決まったということである。早速日本棋院で直接話を伺うことにし、棋友土屋弘明さんを誘った。純碁は日本が古来使っていて計算法を分かり易くしたもので、囲碁を一番理解し易く紹介する方法である、との説明である。これまでは囲碁が強いかどうかで取り上げられていたが、囲碁が別称「手談」とも言われているように、これからは囲碁のもう一つの良さを広めるべきであり、70億人が囲碁を打つようになるのが目標、との壮大な話に二人して感動を受けた。純碁(地の多い方が勝ちではなく、盤に置いた石の多い方が勝ち)を世に広めるためのHPつくりは土屋さんが引き受け、今月末には公開される見通しである。純碁を今月から船橋幼稚園、若松幼稚園、神明幼稚園を皮切りに八千代中学校で実践してみよう。これまで何度も純碁で入門指導してきたが、純碁から本式ルールに移行するのに頭を悩ませていた。日本棋院から純碁も囲碁であるとのお墨付きが出れば、これまでの悩みは必要ない。

山下塾で下のクラスの子が分かりきったところにアタリを掛け相手が気がつかなければ、してやったりとばかりアタリになっていた石を取り上げる。あるいはちょっと頭を働かせてアタリとは違う方にわざと目を向けて相手の気をそらすことをする。強くなればそんな意味のない手は打たなくなる。あまりひどいと、それは卑怯なことでやってはいけない、と注意する。さて新聞の囲碁欄の話に移る。半目勝負の局面で半劫を勝った方が勝負も半目勝ちの局面で、相手の劫立てを受けると劫に負けるので手を抜き半劫を継いだ。その棋士は劫立てしたところは手になると読み切っていたので、相手が氣がつかないでくれ、と必死に祈っていたと語っている。正直な話である。これって子供の意味のないアタリを打つのと同じように感じる。手のないところに手を入れる、手のあるところに手を抜くのは棋譜が汚れる、とプロ棋士は戒めていると思っている。子供の意味のないアタリを注意することがためらわれてきた。

何年振りかで会った大学囲碁部後輩のS君が囲碁に帰ってきた。大きな金額を動かす仕事をしていたが、リーマンショックの時、上手く手仕舞いし、傷を最小限にして凌いだ。その後は堅実な仕事に方向転換し業績を好調に伸ばしてきた。先行きも安定した経営になったので囲碁に帰ってきました、と語る。まだ公表していないが日本棋院の棋戦を新たに立ち上げ、そのスポンサーになるとのこと。会社は非公開ゆえ自由に永くスポンサーを続けられるようである。これまでスポンサーの大部分を担ってきた新聞社が今後はどうなるか不安なことから、若い経営者が棋界の力になるのは後輩ながらあっぱれ!であり、期待するところは大きい。

山下塾生OBのツヨシ君に話したいことがあるとメールをしたら10月の半ばに来ると返事があった。遅いと返したら今週月曜日夕方に来てくれた。彼に頼みたいことが二つあった。一つは関西棋院の正岡理事長からフリースクールでの囲碁指導に関して4000字分を書かないかとの話があり、自分には荷が重いので特別支援学校の教師をしているツヨシ君に書いてもらおうと思ったこと。もう一つは純碁をこれから大々的に広めようとメールを頂いた王銘琬さんに会うので障害児に純碁を教えているツヨシ君の指導方法を聞きたいこと、である。今年で教師4年目になるツヨシ君は一人でも多くの障害児が自分の世界を広げるには何が自分にできるか、日々試行錯誤している。純碁を打つ生徒向けに碁盤の座標を示すための視線だけで色を提示して打つ方法を考えたりしている。障害児でも動かせる引き算のアプリも考え出している。自分にしかできない指導を目指していて、現場は楽しいと語る。話の中で一番印象深かったのは「障害も個性です」、という言葉である。

AI囲碁での布石で隅は殆ど星か小目である。眼外し、高目は見ない。星、小目の勝率が良いと判断しているのだろうと思っていた。ネット上で囲碁に関するところをウロウロしていたら、布石で天元に打つAI囲碁があると知った。調べてみると黒番では第一手を天元、白番だと6手目くらいで天元に打つ。天元を生かそうとしている風ではないが強い感じで、これまでみた5強にも完勝している。最近のトップ棋士の中では山下敬吾さんが若いときに打っていたが、最近は殆ど見ない。もしかして新しいAI囲碁で天元の価値が見直されたのだとすると、またまた囲碁の世界が広がった気がする。激変する囲碁の世界に出会った幸せを強く感じる。

我々世代の囲碁ファンで三堀将さんと言えば知らない人がいないくらい有名な人であった。読売新聞囲碁欄の観戦記者であり、囲碁の著書も沢山出していた。清峰会(呉清源先生と林海峰さんの会)の幹事役でいらしたので、よく連れて行っていただいた。INGO(ingo-web)会員名で同名を見かけたとき、もしや?と思い三堀さんのお孫さんでは?と聞いたらまさしくその通りであった。一度INGOで対局してから暫らく間が空いていた。昨日INGOでの対局申し込みを受け、コメントを読んだところ、何と歩いて数分のところに越してきている。お子さん二人の囲碁教室を探していたら山下塾に行き着き、初心者が入れるかとの問い合わせを受けた。山下塾生は25人いて満杯気味であるが、お世話になった三堀さんの曾孫であれば何としても受け入れなくてはとの思いを伝えた。あの三堀さんの霊に導かれて曾孫さんと囲碁の縁ができることになろうとは、何とも不思議な気持ちである。

パソコンに新しいセキュリテイーソフトを入れ、2台目にインストールしようと思ったら中々できない。やむなくサービスに電話をした。例によって電話が話し中で掛からない。このメーカーではLINEで対応しているとある。チャットで言わせたことはあるがLINEでは初めてである。手順をLINEで送ってくれるので記録が残るだけ分かりやすい。先週は若松幼稚園保護者の会の連絡方法をLINEに変えた。無論、設定はお願いした。囲碁でどんな使いかたが出来るか考えた。、LINEで問題を山下塾生たちに写真で送り、答えを同じくLINEで受け取ることが出来そうである。

薬円台小学校囲碁部は伝統的に部員が多く年間の回数も10回と他校に比べて倍に近い。今年の囲碁クラブ担任の先生は若い女性の先生だがテキパキしていて生徒のリードが良い。今日は卒業記念写真を撮りにカメラマンが来ている。22名いる部員から6年生7名を並ばせ笑顔で表情よく撮らせるのに手際が良い。例年通り全員で囲碁大会を開きたいとの申し出に、あと4回の指導内容をどうすればよいかもすぐに理解してくれる。囲碁は分からないから、とそばで見ている担任の先生もいないわけではない。この先生の受け持ちクラスの子供たちは幸せだなあ、と思う。

井山裕太さんの本因坊7連覇の就位式が椿山荘で行われた。これまでより参加者が多いが、それは若い人が増えたからのように感じる。挨拶、祝辞共にそれぞれの立場からの発言で面白かった。なかでも秀逸だったのは能代市長の祝辞である。能代市は市長の音頭で本因坊戦で町興しをしているようで、女流本坊戦、学生本因坊戦も招致しているとのこと。いまや市民が井山裕太さんの応援団まで作っている、と言うので、齊藤市長に「市民でなくても応援団に入れますか?」と問うたら、「それは面白いですね」と返ってきた。早速秘書課に申し込むこととした。

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